相続で、田舎にも不動産あるのだけどどうにかならないか?という相談を受けます。

売るに売れない、管理もできない、固定資産税は毎年請求される・・

そのような場合、「相続土地国庫帰属制度」という制度があります。

国が引き取ってくれる制度ですね。引き取ってくれればありがたいのですが、なかなか

要件が厳しいのです。

趣旨としては

『相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいというニーズが高まっています。このような土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度』

との事です。

それならもっと広く引受してくれてもいいと思うのですが・・

法務省:相続土地国庫帰属制度について

 

ある程度要件に合致して、具体的に進められそうであれば、流れは下記のとおり。

 

1.法務局(管轄法務局の本局)への事前相談

謄本や図面、案内図や現地写真等を用意して、法務局に事前相談をかける。

具体的に、この不動産が対象になるのか、申請して実地調査まで進む土地なのか、確認してもらう。

(原則法務局に出向くが、資料を郵送したうえで電話等での相談も可能。)

 

2.国庫帰属の申請書提出

申請書の手数料14000円×筆数分の収入印紙を貼って申請。

※申請しても条件に合致せず非承認となる可能性があり、その場合収入印紙はもどってこない。

 

申請したら、書面での審査、実地調査を経て承認・非承認が決定。

承認され通知がきたら30日以内に負担金を日本銀行に納付。

負担金は、地目等に応じ、1筆20万円×筆数で〇〇万円かかる。

(※隣接地等で要件に合致すると少し安くなる可能性あり。)

 

問題点としては下記のとおり。

問題1:費用が高い

1筆最低でも20万円の納付金、申請書に貼る印紙も1筆14000円

いくつかある土地だとかなり費用がかかります。

 

問題2:遠方などの現地確認

現地の状態を確認して、写真撮ったり境界を確認したりする必要があり、場合によっては

現地への案内(法務局調査員)も必要になる可能性があります。

現地に親族・知人がいれば良いのですが・・

 

利用するにはかなりハードルが高いです。

要件も厳しいため、「放置」するしかないという選択になってしまうのではないでしょうか。

 

これからこういう不動産どんどん増えていきます。

現に3世代前の相続登記、相続人50人超という案件の相談もありました。

売却してお金になるなら解決もしやすいのですが・・・

 

 

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